あんまりたいしたことはない(笑)けれど、
でもやっぱり、16禁…と書いておきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ウキウキ、というキャラじゃないと思う。俺も、桜木も。それでもその日はそうとしか表現出来ない気分だった。嬉しい、なんて一言で済ませることが出来ず、もちろんウキウキだけではなく、ワクワクとも言える。
 全国の、強豪どもと、戦えるから。

 桜木が、俺の首筋に口付けてきたとき、なんとなくわかった。ああ、「かきっこ」では済まないパターンだな、と。何が違うのか、別に宣言してヤッているわけでも、お断りを入れられたわけでもないのに、わかってしまった。また俺は、痛い思いをするんだな、と心の中でため息をついたものの、はね除けようとも、俺がヤる、という気持ちにもならなかった。痛いのが好きなわけじゃない。だけど、ヤられること自体はイヤじゃない。何故か、というのは、どうしてもわからねー。もしかしたら、メンドウなのかもしれない。
 桜木がこの瞬間にもたらすのは、心地良さの方が大きいから。

 毎回、ヤられる時に、「何してるんだ俺」と考えるのだが、必ず思考は途中までだ。何も、考えられなくなっちまう。
 俺に覆い被さる桜木自身についても、どこまでバレているのかよくわからない水戸のことも、コイツがのぼせているらしいマネージャーのことも、忘れてしまう。頭から離れないのは、お互いがバスケしてる姿だけだ。この感覚と、バスケしてる感じが似てる、とも思えないのだが。
 ただ、俺が思うに、桜木が真剣な顔をしてアツイ眼差しを俺に向けるのが、バスケのときと、このときだけだ。

「…ふっ…」
 こういうときの声ってやつは、他の時にはどんなに努力しても出ないだろう。自分でも聞いたことのないような、いわゆる恥ずかしいタイプの声だ。
「押さえんなよ」
 俺が、手で口元を押さえると、必ずこう言って、必ず手を頭の上に押さえつける。男である俺のそんな声なぞ聞いて、何が嬉しいのか理解出来ない。いや、こんな時でも俺は正直になれないだけなのだろうか。ヤッている桜木の方が、素直な声をあげるから。
「うっ…ルカッ…」
 今日は途中までしか呼べなかったようだが、コイツは必ず俺の名を呼んでイく。まるで相手が俺だと確認しているようでもあるし、俺としては、他の奴、たとえばオンナを想像してイッているのではないとわかって、よしよしとも思う。
 一度イくと、少し冷静になれる。たいていは、これで風呂場へ連れて行かれて、洗われるだけか、もう一回、ってところだろう。だけど、今日は違うんだろ? てめーはそんな目をしている、と俺は思うんだが。お互いじぃっと目と目を合わせて、しばらく黙っていた。
 桜木は、先日使った軟膏を取ってきて、俺の両足の間に座った。座る前に電気を消した。まぁ俺としても、明るいところよりは、と思う。俺の小さなため息をゴーサインに、コイツはいきなりそこに指を這わし出した。
 両手を後ろ手で体を支え、両膝を立ててわざわざ開いてやった俺は、コイツの真っ赤なボーズの頭頂部をただ見つめていた。コイツの視線は俺の下の方を全く逸らさず見つめたままで、片方の手で俺の足を押さえ、もう片方で俺のソコに触れていた。こんなときに正座するその姿が、どあほう、とつい言いたくないくらい、おかしかった。そんなに、真剣な顔してヤることなのだろうか、と呆れる。俺にはこの作業が出来ないから、俺は下になるしかないんだろう、と今初めて気が付いた。
 もどかしいくすぐったさを感じ、ふと下を見ると、オレが反応し始めていた。俺の意識はそのもっと奥に向いていて、気が付かなかった。桜木も、俺も、タッているオレを一緒に見ている。やっぱどう考えても、まともではない。でも、止めようとも思わない。
 ずっと、入り口付近を撫でさすっていた桜木の指が、少しの力を持ってソコにめり込んだ。その瞬間、俺は前屈みになった。
「…うっ…」
 思わず出た声に、桜木は指を止めた。
「…痛かったか…?」
 心配そうに下から見上げてくる。おかしなもので、その口調と低い声に安心して、俺はまた体を反らした。ふっと息を吐くと、力が抜ける。桜木の指にもそれは伝わったようで、黙ったまま再開した。ゆっくりと指が進んでくるのが、はっきりとわかる。とにかくもどかしく、排泄器官なだけあって、吐き出してしまいたい。たった一本の指のくせに、俺の中でもの凄い存在感を持っている。
 ところが、一瞬だけ、とんでもない感覚を呼び起こしやがった。
「…ぅあっ…」
 色っぽい声っていうより、叫んだって方が正しいような、そんな声が出た。それと同時に、無意識のうちにソコを締めていたらしい。首を仰け反らせた俺に、桜木は驚いた。
「…な、なに? なんだ? オイ、ルカワ?」
 焦った声で、俺の首を支えようと少し起きあがった。そうすることで、俺の中の指も動く。狙ったわけじゃねぇだろうが、またそこに触れたらしい。
「あぅっ…ヤメっ…」
 それが何なのか、聞かれても、俺にもわからないが、強烈な感覚、たぶん快感をもらたすものではあるらしい。情けないといえばそうかもしれないが、俺はここでシーツの上に倒れ込んでしまった。仰け反ったまま、エビ反りになり、覆い被さってくる桜木にしがみついて、この後のことははっきりとしない。
 ただ、大急ぎで俺の中に入ってきた熱い固まりがまた痛みを引き起こし、俺は萎えた。それなのに、ときどき当たるその部分にもっとぶつかってほしくて、自分から腰を回していた気がする。
「あっ…すげーよ、ルカワ…」
 何度も何度もそう言って、繰り返し俺に口付ける。俺の両腕はまるで桜木を離すまいと、広い背中に巻き付いていた。ゆっくり動く桜木に合わせるように、そうすれば多少は楽だからと言い訳しておきたいが、俺もゆっくりと動いた。桜木が、オレを掴んでも、結局イけなかったが、俺の肩に口付けながら、気持ちよさそうな声を出してイッたこいつに、俺はまたいい気分だった。
 なんでそんな言葉が頭をよぎったのか、自分でもわからない。だけど、俺に全ての体重をかけて呼吸を整えようとしているコイツは、見たことのあるAVを思い出させた。
 もしかして、これはSEXなのだろうか…?

 

 


2000.11.13 キリコ

  
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