家 族

「」が日本語で、『』は英語です。

 

 

『ダディ、今日はバスケ行く?』 

 今日は休みの日。ジュニアがボールを持って誘いに来る。それはいつものことだった。その声に、恐ろしい量の課題を放り出したくなった。
「今日は…ムリ…」
『えーーっ』
「桜木と二人で…」
 まだ不服そうにエーエー言い続けるジュニアを見て、俺も同じように叫びたかったことに気づいた。


「ジュニア、ルカワのジャマすんなよ」
「…じゃま?」
「こいつはトロイから、宿題たまってんだよ」
 桜木の日本語の説明についていけないジュニアは、それでも文句を言うのを止めた。
「オラ、メシ食って行くぞ、ジュニア。ルカワ、テメーも机ン上片づけろ」
 すべて命令する桜木。
 ムッとしながらも、腹の虫と同じタイミングだったので、何も言わなかった。

 

 出かけたのかと思っていたが、いつの間にか二人ともリビングにいる。笑い声に振り返ると、仲良く雑誌を見ているらしい。
 桜木は、ここへ来てすぐジュニアを膝に乗せたりしていた。すぐに抱いて、その背中を撫でていた。
 そういう姿が、自然だった。

 手を止めたまま、こんな生活を振り返っていた。
 ぼんやりしていたのか、気が付くとテーブルの状況が変わっていた。
 視界の端に小さな手が見える。いろんなものを持ち上げて、俺のノートのそばに並べる。

「…ジュニア?」
『ダディ、俺のオモチャ貸してあげるから、宿題ガンバってね』
 小さな足音が去る方向を向くと、桜木と目があった。
「おぅ…終わったンか?」
「……あと少し…」
「さっさとしろよ。日が暮れちまったら、スーパーだけだかンな」
 そんな会話を全く気にしていないように、ジュニアはまた桜木の膝に乗った。

 未だに違和感のある、何とも不思議な家族の光景。

 

わからない方が多いかも…(ごめんなさい)
まだ戸惑ったままの流川さんです。
まだデキてません…(苦笑)

2004.6.14 キリコ