朝ご飯

 

 でっかい背中をぼんやりと見つめる。
 寒い中ランニングしてきたらしく、Tシャツにエプロンで台所に立っていた。
 自分と、まだふとんから出ようとしない俺の分の朝ご飯。
 そのための動きを見るのは何度目だろうか。
 包丁や皿を置く音、鍋が火を噴く音、音程の外れたおかしな鼻歌。
 最近の俺は、こんな目覚め方をする。

 その背中は、いつも元気そうだ。俺のために朝飯を作るのも楽しいらしい。変な奴だ。

 大嫌い、と言ったじゃねぇか。
 だけど、好きだと言った。恋人なのだ、と。
 …恋人だから、朝がこんなに甘く感じるのか。

 部活中やガクラン姿には何も思わないその広い背中が、朝だけはなんとなく好きだ。
 きっと目覚めたばかりの俺は、寝ぼけているに違いない。
 たまには、呆けた振りして、俺からしてやろう。

 そう思ってしまうくらい、俺は桜木との朝が気に入っている。


もーにんぐちゅー(^^)v


2001.2.5 キリコ

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