とらい <その2> とらいの続きです。
以前の「挑戦」から、それほど時間は経っていなかった。
流川はTシャツを着たまま、畳の上に寝転がった。花道は、流川の腰辺りに座り、その動きをじっと見ていた。この前と似たようなシチュエーションだけれど、気持ちが少し違った。流川も花道も、最初のときと違い、その後の展開をわかって始めているのだから。
「い…いくぞ…」
またそんなかけ声を、と流川はため息をついた。なぜこういうときだけカメのような動きなのだろう。いつもなら、周囲などお構いなしのはずなのに。
花道は、流川のTシャツの裾から手を滑り込ませた。いきなり目指すところが見えていた前回のようにはいかない。今日は、自分が流川を脱がせなければならないらしい。そのことに気付いたとき、花道の指は震え始めた。
あまりにもゆっくりした動作で、流川は少し気がそがれた。荒々しいのは嫌だけれど、やる気があるのだろうかと疑いたくなる。花道の指が時間をかけて乳首に辿り着いたとき、流川は軽く目を閉じた。
そのとき、たぶん流川のスイッチが入った。そんな気がした。
自分はこの指を待っていたのではないだろうか。そんなはずはないと自問自答する。けれど、体は花道の指や口腔内の熱さを覚えていて、これから与えられることへの期待で、流川はゴクリと喉を鳴らした。顎を天井へ向けると、自然と背中が仰け反り、花道がやりやすいように動いてしまった。自分の意志とは関係ないところで、胸部が忙しなく上下していることが、見なくても確認できた。練習後のように、呼吸がとても荒い。
今日もまた、花道はしつこく乳首を攻めた。ふと思い出したように流川の耳を見上げたけれど、今日は間にTシャツがあって、舌を這わせられないことがもどかしい。けれど、これ以上脱がせる勇気もなかった。
もしも次の機会があったら、全部脱いでから始めよう。花道は心の中で舌打ちした。何しろ、互いがイッたときも、短パンのままだったのだ。脱ぐ余裕も、脱がせる余裕も、若い自分たちにはなかったのだから。
耳への攻めを諦めた花道は、流川の腹部に目をやった。以前は見ただけで、手ですらろくに触れていなかった。そのことがとても勿体ない気がして、花道は手のひらをお臍あたりに当てた。その新しい動きに、流川の体がビクリと跳ねた。親指で軽くその溝を撫でてみると、花道の下で流川の体が震えた。快感なのか、ただくすぐったいのか、今の花道には判断できない。けれど、その発見ポイントを、花道はしばらく指で攻め続けた。
そのとき、花道は流川の下半身の状態に気が付いた。自分も負けず劣らずだけれど、もうそろそろヤバイのではないだろうか。花道の頬は一瞬でカッと赤くなった。
流川は、自分を嫌いではないのかもしれない。
そんな考えに至って、花道は流川の胸に頬を貼り付けた。突然動かなくなった花道の髪を、流川は少しだけ引っ張った。
何と言って良いのかわからないけれど、何とかしてもらわないと非常に困るのである。けれど、まだ素直に促せる間柄でもない。そもそも、なぜまたこうしているのか、自分で理解できなかった。こういうことを考える時間がないくらい、勢いでやってしまいたかった。
花道の髪から離した腕を、流川は花道の首に回した。そうされて、花道は目を開けた。
疑問だらけでも、とりあえず今はこうしたいので、仕方ない。
花道は自分にそう言い聞かせて、行動を再開した。最初のときは、くだらないことでケンカして、花道は流川に殴られた。それはそれでウヤムヤにできて良かったのだけれど、今日のようにしんみりしてしまうとどうしていいかわからなかった。
お互いの気持ちの悪い下着をどうしたのか、思い出せなかった。
「る…ルカワ! ふ、フロ行こう!」
「……は?」
花道の突然の大声に、流川は少し驚いた。言葉を理解する前に、流川は花道に引っ張られ、風呂場に連れられていった。
そして、服を着たままシャワーを流し始めた花道に、流川の青筋が浮いた。
「…てめー、なんてコトしやがる」
「だ…だってよ…」
花道は、シャワーの勢いを上げた。お互いの、まだ見せていないところを綺麗に洗い流せることを願って。「…先に脱いどけ、どあほう」
「て……テメーこそ!」
自分が考えていたことを、流川も気付いた。そのことが妙に気恥ずかしくて、花道は赤い頬のまま、流川を睨んだ。
うーん…
勢いで書いたものって…
続きを書くのが難しい…
むしろ、単発で終わらせた方がいいのかなぁ…
でも楽しい…(笑)2008.5.2 キリコ