オトナになった僕たち

タイトルが合ってない気もするんですが…(苦笑)
ギャグテイストを目指して…?
花道も流川も、それぞれ女性の影が見えます。
うちは「はなる」サイトですので、たぶん大丈夫…と思いますが…
そういう展開がニガテな方はご注意くださいませm(_ _)m

 

   

 桜木花道は高校一年生から始めたバスケットボールで、会社に就職した。一年生のインターハイでの大怪我を克服し、その後全国制覇は成し遂げられないものの成績を残して引退した。大学には進まず、誘われた会社でバスケットボール選手として生きていくことになった。
 自分よりも2歳以上の選手は全く知らず、入社当時からかなり失礼な新人といわれていた。それでも、持ち前の明るさやがむしゃらさで親しまれるようになった。

「まあ…俺たちが大学に行けるはずはないと思ってたけどな」
 桜木軍団は就職か専門学校に進学しており、これまでのように会うことはできないけれど、今でも親交を深めている。未成年だった頃から、居酒屋にいることが多い。
「なんつーか、花道がバスケットで身を立てるとはねぇ」
 毎回、同じような会話から始まる。そして、花道も律儀に付き合うのだ。
「天才桜木様はナンでもできるが、晴子さんとバスケに出会ってしまったからね。フッフッフッ」
「…でも、晴子ちゃんは少し遠くの短大に行っちゃったしな」
「ああいういい子はヤロウが放っておかねぇし、結婚もはやいんじゃねぇの」
「…け、ケッコン…」
 そんな単語は、自分たちにはまだほど遠いものだった。けれど、確かにあり得ない話ではない。花道は、想像をしてしまい、落ち込んだ。
 その花道の表情に気づき、洋平は話題を変えた。
「そういえばさ、流川はまだアメリカか?」
「ああ? 知らねーよ」
「もう…2年近くになるよな」
「花道、ウワサとか聞かねーの?」
「…だから…知らねーよ」
 自分と親しいわけでもない男の話題は、桜木軍団でよく上った。その度に、花道は憮然とした顔をする。あの男に、追いつかないまま飛び立たれてしまったという思いが、花道にはあった。
 花道がライバルと思っていた相手は、自分など相手にならないという顔をしながら、アメリカに行ってしまった。花道はそう思っている。
 流川楓がアメリカに留学したのは、2年生の夏が終わってすぐだった。まるで、一年前の山王の沢北のように。
「オレさまが主将になったのが気に入らねーんだ」
 そんなことを後から口にしてみたが、負け惜しみでしかないと自分でも思う。流川は、そんなところはとっくに通り越していて、まっすぐ前しか見ていなかった。だから、追いかけている自分なぞ、視界に入らないのだろう。
「流川って…結構お前に構ってたと思うけどな」
 洋平の言葉も、花道にはしっくり来なかった。
 その後の流川がどうしているのか、花道は意識的に聞こうとはしなかった。
 悔しくて、羨ましくて、仕方なかったから。

 その噂の流川が、花道がもうすぐ21歳という早春に、突然花道のチームに入ってきた。

  

 

 

2008.1.1 キリコ
  
SDトップ  NEXT